2016年1月22日金曜日

アスク税についての昨年の4Gamer記事

昨年秋頃から年内いっぱいブログへの記事投稿を休んでいたのだが、その間に4Gamerに秀逸な記事が掲載された。俺の個人的な4Gamer昨年記事ランキングの3本指に入る内容である。この記事に触れないままなのは惜しいので随分後になってしまったがコメントしておきたい。

「アスク税」とは何か ~ゲーマーのためのグラフィックスカード流通事情講座
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20151114005/

アスク税(ASK税)とはいわゆる「輸入PCパーツにおける代理店マージンの過大な割り増し部分」を指して言う。
税と揶揄(やゆ)されるのは日本国内でPCパーツを購入しようとすると、かなりの割合でこの高額な割り増し部分を問答無用で支払わなければならないことがほとんどで、高額であることと逃れられないことがその理由となっている。一種の殿様商売なのだ。
このアスク税は将来の製品価格値下げ改定時に販売店への価格差分の補填資金に使われる。後、くだらない接待費にも。具体的で興味深い内容は4Gamer記事をお読みいただきたい。

直売製品(または日本国外で販売される製品)は大まかに言うと製造原価に製造者の利益と、正規輸入代理店の利益、販売者の利益が乗る。国外メーカーの製品を日本に輸入して販売するにあたって極普通の話である。
これに比べて、日本国内への正規輸入品はさらにプラスして正規輸入代理店の割り増しされた利益が乗る。決して、両者の消費者への販売価格が同一で各業者の利益配分が変わるのではなく、正規輸入代理店利益とその割り増し部分がさらにプラスして乗るために日本の消費者の日本国内での購入価格が直売製品に比べてかなり高額になってしまう構図だ。
新製品発売直後のご祝儀分と合わさるとなんと2~3割、高額製品ではまれにそれ以上高くなることもある。ここまではPC自作をしている人にとっては常識的な話。

この記事が秀逸だと言ったのは、アスク税の計算がおおよそどのような計算式、掛け目で行われているかという点をある程度具体的な数字をもって示したことと、アスク税について商業情報サイトが言及したこと自体にある。
商業情報サイトの常で、どこかの資本によるものであり、記事執筆には日頃から業界各社の協力を仰ぐ必要があるために、4Gamerはどうしてもある程度提灯持ち的な状態にならざるをえないのであるが、この記事はPCパーツ正規輸入代理店の業界最大手であるアスクを揶揄する言葉「アスク税」について丁寧に解説してあるのだ。執筆者の佐々山薫郁氏はなかなか出来る人物らしく、執筆した佐々山氏とこの記事を掲載した4Gamerを俺は評価している。

佐々山氏が記事で触れていない、昨今のPCパーツ価格の動向として挙げられる事柄は、
・スマフォの台頭でPCの需要が減り、自作者向けにPCパーツを薄利多売することが段々難しくなってきている。
・ここ数年間、CPUや高性能ビデオカードが目に余るほど高額化している。
があり、このアスク税もさらに悪目立ちすることが多い。困ったことである。

PCパーツを個人輸入すれば代理店マージンなぞ支払わずに済むではないかという意見がある。その通りだが、ことPCパーツに限ればそうしたくない事情がある。それはPCパーツには初期不良がそこそこの確率で起こりうることだ。個人的にも過去に一度ビデオカードが初期不良だったことがある。
個人輸入では初期不良にあたると交換の手間はもちろん全て個人にかかる。英語その他外国語での業者とのやり取り、交換にかかる日数や費用諸々を考えると二の足を踏んでしまう。簡単にはいかない。
10万円程度までのことが多いPCパーツで正規輸入品を使うか否か、なかなか悩ましい問題であり続けている。そして、アスク税もまだまだのさばり続けるのだ。

【追記】
COMPUTEXで業界人に業界裏話を聞いてきた
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1003795.html

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